「ケーシング」という言葉は、英語の「casing」から来ていることからわかる通り、本来は包装に関連することを指しています。容器で包装するという行為だけでなく、縁取りや額縁、包装に使用する材料や包装技術を指すこともあります。たとえば住宅用語では、室内のドアや窓を設置する際の開口枠にケーシング枠という納め方があり、正面からは二段額縁形式に見え、重厚感を醸し出す方法として使用されます。また建築では、空調用ダクトに覆いを被せたり、空間をパネルで囲ったりすることもケーシングといいます。ケーシングは衛生や生産効率の面でも重要な役割を果たしています。
工場やオフィスでのケーシングにはさまざまな利点があります。たとえば機械をケーシングすることで防音効果を上げて、作業に伴う騒音を減らすことが可能です。空調用ダクトの場合は、ケーシングによって気密性を高め、冷暖房の効率を改善するという利点もあります。省エネになるため無駄なコストを削減することにもつながります。また、工場内では、丸ごと生産ラインをケーシングすることで、クリーンルームをわざわざ設置しなくても衛生レベルを引き上げることが可能です。
建築ではパネルによるケーシング技術が日々発展しています。パネルによって空間をまるごとケーシングして、その内部をある目的専用のスペースとして使用することにも利用されています。空間を限定するので、外部の熱、湿気、ホコリ、電磁波、騒音などの遮断が可能になるのです。